雇われ聖女の転職事情 小ネタ
「雇われ聖女の転職事情」の小ネタです。
玲奈が婚活したらどうなる?という。まあ、お約束の展開ですけれども。
続きからお読みください。


 玲奈がいつものコンビニでお菓子や雑誌を買って、トーマの屋敷に戻るとちょうど屋敷の主と玄関で行きあった。
「おや、玲奈さんお買い物ですか」
 トーマの目が、玲奈の提げたコンビニのビニール袋にとまる。
 
「雑誌買ってきたの。そろそろ春物の服が出るでしょ。エマとバイオレットに春物見せてあげようと思って」
「それはいいですね……おや、婚活ですか」
 ビニール袋からのぞいている雑誌の見出しにトーマの目がとまる。赤い字ででかでかと【イマドキ婚活】などと書かれているのだから、非常にわかりやすいのだ。
 
「玲奈さん、興味あります? 婚活とか」
「うーん」
 玲奈は考え込んだ。
「いざって時のこと考えると、婚活してもいいかもね?」
 幸か不幸か今は彼氏なんていないし、結婚しない主義というわけでもない。今まで真剣に考えたことなんてなかったけれど。

「よかったら、どなたか紹介しましょうか?」
「背が高くてお金持ちでイケメンだったら喜んで!」
 無理だろう、と思いながら適当な条件を上げてみる。これが玲奈が結婚に必要と考える条件というわけではないが。
「ぴったりの人を知っていますよ」
 やけににこにことしながら、トーマが言う。
 
「うちのへーかとかいかがですか?」
「……はい?」
 玲奈はその場で固まった。へーか、へーか……陛下……ってルーカスじゃないか!
「……ムリムリムリッ!」
「背が高くて」
 ルーカスは190cmくらいありそうだから、確かに長身と言えば長身だ。
 
「お金持ちですし」
 とトーマは続ける。それはそうだろう。何しろ国ひとつ持っているのだから。
「イケメンじゃないですか?」
 そうなんだけど! そうなんだけど! 確かに美形だ。超美形だ。最初会った時はハリウッド俳優ではないかと思ったくらいだ。
 
 確かに玲奈が適当に上げた条件を全てクリアしていると言えばしているのだけれど――
 
「ああ、身分のことでしたらお気になさらなくてもいいですよ」
 玲奈が遠慮していると思ったらしいトーマはにこにことしながら続けた。
「玲奈さんは聖女ですから。我が国においては、最高位の貴族と同待遇です!」
「いや、そうじゃなくてね……ごめん、ムリ」
 たぶん、聖女が貴族待遇なのは事実なのだろうけれど……。与えられるものが全てやたらとゴージャスなのもそう言われれば納得できる。
 
 条件を満たしていれば満たしている――けれど、ルーカスの顔を想像して玲奈はぶんぶんと首を振った。
「……やっぱムリだわ!」
 ルーカスと言えば、謁見の間でやたらに豪奢な衣装を着ている姿か、頭に葉っぱをつけてるところしか記憶にない。そんな相手に婚活できるかと問われれば、やっぱり無理だと思う。
「他にもいっぱいいるんで、気が向いたら声かけてくださいねー」
 とトーマは言うのだけれど、それはどうかなぁと玲奈は首を傾げたのだった。
 





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Posted by 雨宮れん at 19:39 | SS | comments(0) | -

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