雇われ聖女の転職事情SS 彼女が水着を見ていたら
 玲奈たちが水着のカタログを見ているところに、聖騎士団の面々が来たらどうなるのよ?という小ネタ。セクハラ風味注意。

読んでやるぜって方は続きからどうぞー。

「うわー、レナ様のお国って大胆なんですねぇ……!」
 感心しているのかあきれているのかわからないバイオレットの声が響いた。
 今玲奈が膝の上に広げているのは、通販のカタログである。トーマの屋敷に家財道具一式を送りつけた時に捨てそびれたものだ。
 そして三人が眺めているのは、水着のページ。色鮮やかな水着が並んでいる。
「エマとかこれ着たらどうなると思う? すれ違う男どもが振り返るでしょうねっ」
 玲奈が押さえたのは、一応ワンピース型ではあるものの、腰のところが大きく切り取られている大胆なデザインの水着だった。
「……いくら何でも大胆じゃないでしょうか……」
 エマが苦笑する。
 何でこんなところにカタログを持ち出しているのかと言えば、中庭に敷物を敷いて涼んでいるのである。今日は室内にいるよりは、風のある木陰にいるほうがずっと快適なのだ。
「本当に、こんなの着るんですか?」
 疑わしそうな目でバイオレットが玲奈を見た。
「こっちじゃどんなの着てるの?」
「水着っていうか、海水浴っていうか、こことか隠しますよねー。上下ばらばらの水着ってないですよ」
 バイオレットの指先が腰の周りを指す。
「足も大半は隠しますよね、隠すべきものですから」
 そう言ったエマは、スカート付の水着には興味を示したようだ。

 そこへ中庭のほうからぞろぞろと聖騎士団の面々がやってくる。
「何見てるんですか?」
 まっさきに玲奈の側によってきたのはケネスだった。
「うわー、うわー!」
 若干赤面したものの、彼の目は紙面に釘付けだ。イークリッドでこれだけ肌を見せている女性を見かける機会はなかなかないだろうから、目をはなすことができないのも何となくはわかる。
「こら、君にはまだ早い!」
 玲奈は慌ててカタログを後ろに隠そうとする。実際早いかどうかは別として、たぶんケネスに見せるのは間違ってる。
「……なかなか、刺激的ではありますよね」
「ちょ、ブラムいつの間に! てか刺激的って!」
 玲奈の手からカタログを取り上げたブラムは、さほど興味を示していないような顔でページを眺めている。
「アーサー、あなたも見ますか?」
「誰が見るか!」
 一瞬のうちに、アーサーははるか向こう側まで後退していた。万が一にも紙面が目に入らないよう視線は横に背けている。
「……ブラム。ここを事件現場にしたいわけ?」
 足首だけで血が上るのだから、こちらの基準で「大胆」な水着なぞ見せてしまったら、ここが流血の場となりかねない。
「おやー、それではこれとか見せたら失神しちゃうかもしれませんねぇ」
 いつの間にかちゃっかり敷物の上にトーマが座っている。
「きょーじゅ、どこから来たの」
 さすがに玲奈も少しあきれた声になった。
「先ほどからいましたけれど」
 悪びれない笑顔で、トーマは玲奈の前に週刊誌を突き出した。男性向けの大胆なグラビアが掲載されている雑誌だ。
「この見出しの記事が読みたくて買ったんですけどねー、なんか僕の発言ねじ曲がって掲載されてますよ。まったく困ったものですね」
 少しも困っていない口調でトーマは言う。
 紙面の大半を肌色が占めているページを開いて差し出しているので、玲奈はさらに慌てた。
「マズイって、絶対マズイって! 教育上よくないから隠して! あああっ、バイオレットは見ちゃダメだってば! ケネスはもっとダメ! エリオット、ケネスの目に触れないようにして!」
 好奇心を隠そうともせずケネスは、トーマが無造作に敷物の上に置いた雑誌を手に取ろうとした。
 エリオットがそれを横からさらう。ケネスとエリオットで取り合いになっているのを、後ろから近付いてきたローウェルが鮮やかな手つきで取り上げた。
「……風紀を乱されるのは困る。というわけで、これは没収だ」
 くるくると丸めた雑誌を手にしたまま、ローウェルはその場を立ち去ってしまう。
「……一人で堪能するつもりなんですかねぇ、あの人」
 とトーマがぼそりとつぶやいて皆ぎょっとした。まさか――まさか、ねぇ? 玲奈は視線でローウェルを追う。
 見られているのに気づいているのかいないのか、ローウェルはごみを燃やしているたき火に近付いていくと、その中に丸めた雑誌を無造作に放り込んだのだった。





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Posted by 雨宮れん at 17:37 | SS | comments(0) | -

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